高山医院

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腎臓をいたわり悪化させない為のケア

腎臓をいたわり悪化させない為のケア

症状が出る前から、塩分制限をスタート。腎臓を守るためにも、血圧や血糖などのコントロールを

腎臓の機能はいちど失われると、ほとんどの場合、回復することがありません。そのためなるべく早く異常を発見し、治療&ケアによって腎機能の低下を防いだり、スピードを遅らせることが大切です。日常生活ではどのようなことに気をつければいいのか。腎臓専門医の高山医院・竹森愛先生にお話をお伺いしました。

早期では症状がないそうですが、どのくらいで症状が現れますか?

腎臓の機能が50%程度失われて、ようやく症状が現れます
腎臓の機能が健康なときに比べて半分近くまで低下して初めて、自覚症状が現れます(表を参照)。ステージ3(腎臓の機能50%程度)では、夜中に何度もトイレに行く、血圧が上昇する、貧血になるなどの症状が現れます。ステージ4(腎臓の機能30%程度)では、疲れやすさ、むくみ、尿量の減少などが現れます。つまり何らかの症状が出て受診したときには、腎臓の機能はすでに半分以上、失われていることがわかります。放っておくと透析療法が必要になる可能性があります。
ステージ1〜2のうちに食生活など生活習慣の改善をスタートし、薬物療法を開始することが大切です。年に1度の検診(健康診断)は必ず受けるようにしましょう。

高血圧や糖尿病があると、どうして腎臓にも良くない影響があるのでしょうか?

腎臓は毛細血管のかたまり。血圧や血糖のコントロールが不十分だと、腎臓のはたらきが低下してしまいます
腎臓は毛細血管のかたまりだとご紹介しましたが、高血圧の状態が続くと、腎臓の血管にも動脈硬化が生じ、腎臓のはたらきが低下してしまいます。腎臓を守るためにも高血圧は放置せず、医師の指導のもとコントロールしていきましょう。
また糖尿病の血糖コントロールが不十分で高血糖の状態が続くと、腎臓の中にある毛細血管のかたまり(糸球体)がダメージを受けてしまいます。高血糖状態が続くとたんぱく尿が出るようになり、腎臓のろ過機能が低下する恐れがあります。糖尿病の血糖コントロールもきちんと行っていきましょう。

食生活は、どんなことに気をつけたらいいですか?

ステージ2までは塩分制限、ステージ3以上では塩分、たんぱく質、カリウム、リンの摂取制限が必要です
ステージ1〜2では、塩分の摂りすぎに注意をし、1日6g未満に抑えます。たんぱく質は過剰に摂らないように気をつけましょう。
ステージ3以上では、塩分は1日6g未満、たんぱく質の摂り過ぎに気をつけつつ、症状(ステージ)にあわせて、カリウム、リン、水分の摂取制限も行います。

リン酸塩に注意!

インスタント食品、スナック菓子などには「リン酸塩」が添加されている場合があるので注意!

ステージが進行すると、カリウムやリンなどのミネラルの排泄も難しくなります。 カリウムが体に溜まると、手足のしびれや不整脈が生じる場合も。生の野菜は茹でこぼし、くだものは水にさらしたり、缶詰を利用したりしましょう。またリンが体に溜まってしまうと、骨がもろくなりやすくなるため、摂取を制限します。スナック菓子や乳製品などの食べ過ぎに気をつけます。

なかなか運動できません。やはり体は動かした方がいいですか?

家の周りを散歩したり、家の中でストレッチやラジオ体操を!

週に2〜3回、20〜30分程度のウォーキングをしましょう。ゆっくり無理のないペースで歩くことが大切です。もし歩くのが難しい場合には、家の中で軽くストレッチをしたり、ラジオ体操をするのもおすすめです。

慢性腎臓病と診断を受けていますが、他科を受診するときに気をつけることはありますか?

腎機能が低下していることや、わかればステージも伝えて!
たとえば膝や腰の痛みで整形外科を受診すると、エヌセイズ(NSAIDs)と呼ばれる非ステロイド性抗炎症薬(いわゆる痛み止め)を処方されることが多いですが、飲み続けると腎臓の機能が低下するスピードが増してしまいます。
また内科などでよく処方される抗生剤も、使い続けると腎臓に負荷をかけてしまうので、ステージによって処方する量を調整しないといけない種類の薬剤があります。
他科を受診する際には「慢性腎臓病です」あるいは「ステージ4です」など医師に伝えてください。

暑い時期ですが、水分の摂り方で気をつけることはありますか?

ステージ3までの方はたっぷり、4以上の方は普段より少しだけ多めに水分を摂ってください
ステージ1〜3の方は、十分に水分補給をして脱水を防いでください。体内の水分が足りないと、お小水が出なくなってしまいます。
ステージ4,5の方は、普段よりひとくち、ふたくちほど多めに水分を摂ってください。お水とお茶がおすすめで、スポーツドリンクは多量に摂取しないでください。