高山医院

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慢性腎臓病(CKD)の早期発見

慢性腎臓病(CKD)の早期発見

腎臓は気づかないうちに弱っていく。
毎年検診をうけて早期発見&早めのケアを!

腎臓は“沈黙の臓器„と呼ばれており、慢性腎臓病(CKD)など、なにか不具合が起きていても、かなり進行しないと自覚症状がありません。そのため気づいたときには、透析が必要など、取り返しがつかない状態になっていることも少なくありません。
慢性腎臓病とはどのような病気で、どのように早期発見すればいいのか。腎臓専門医の高山医院・竹森愛先生にお話をお伺いしました。

腎臓は何をするところ?

腎臓の役割の1つは、血液中から要・不要なものを仕分けること

腎臓は、腰より上の背中側に左右に1つずつある、空豆のような形をした握りこぶし大の臓器です。

腎臓の役割にはいくつかありますが、そのもっとも重要なものが、血液をろ過して、「体にとって不要なもの(老廃物など)」と「体にとって必要なもの」を仕分けすることです。余分な老廃物や水分、塩分などは、尿として排泄します。

1つの腎臓には動脈と静脈という2つの太い血管がつながっていて、大量の血液が流れ込んでいます。腎臓は体重の200分の1の重さしかないのに、およそ1リットルもの血液が流れ込んでいます。老廃物が取り除かれてきれいになった血液は、心臓に戻されます。

腎臓には、体にとって不要なものを尿として排出する以外にも、血圧を調整したり、体内でビタミンDを作り出したり、多くの働きがあります。

慢性腎臓病(CKD)とは

数カ月〜数年の経過で、腎機能が徐々に低下していく病気

「①腎臓の障害」もしくは「②腎機能の低下」、あるいは①②両方が3か月以上持続している状態を、慢性腎臓病(CKD)といいます。
“腎臓が悪いなんて自分には関係ない„と思うかもしれませんが、最新のデータでは成人の8人に1人がCKDの状態にあると推計されます。初期では自覚症状がまったくないため、気づかないまま生活している人が少なくありません。

慢性腎臓病(CKD)の原因は?

動脈硬化を招くような生活習慣病や、喫煙、塩分の摂りすぎが要因に

腎臓は毛細血管の集まりであり、動脈硬化につながるような生活習慣病(高血圧、糖尿病、脂質異常症、高尿酸血症など)は、腎機能低下の要因となります。また喫煙や塩分の摂りすぎなどもリスク要因です。
そして加齢も大きな原因となります。80代では2人に1人がCKDの疑いがあるとされます。

特にご高齢の方は、腎臓に負担のかかる薬に注意を!

お薬には、主に腎臓で排泄されるものと、肝臓で代謝・分解するものがあります。高齢になると腎臓の機能も低下していきますので、主に腎臓で排泄されるお薬を多量に服用すると、腎機能の急速な低下を招きかねません。
特に以下の薬剤を服用する際には、「腎機能は大丈夫ですか」と確認したり、「腎機能が低下している」旨を医師に伝えましょう。

腎臓の中には毛細血管のかたまり(糸球体:しきゅうたい)が毛糸の球のように丸まってつまっています。毛細血管からもれ出た水分は「尿細管」に流れ込み、お薬などの化学物質やその他の成分を吸収し、尿として排泄します。

高齢者や腎機能が低下している人は注意したいお薬
  • 鎮痛薬 
    非ステロイド系抗炎症薬
    (NSAIDs:エヌセイズ)
    ロキソニン、ボルタレン、モービック、セレコックス、ポンタール など
  • 骨粗しょう症の薬
  • 抗生剤

早期発見するには?

検診を受ける以外に方法はなし!尿、血液検査を必ず受けて

腎臓は、数カ月〜数年という時間をかけて少しずつ弱っていくので、気づいたときには透析や腎移植が必要になっていた、とならないよう、少しでも早く見つけることが大切です。自覚症状がないため、検診をして尿検査や血液検査の数値を診る必要があります。

  • 尿検査
    (①腎臓の障害を調べる)
    主にたんぱくの量を調べます。もし尿たんぱくが陽性の場合、腎臓に障害がある可能性があります
  • 血液検査
    (②腎機能の低下を調べる)
    血液中のクレアチニンという老廃物の量を調べます。GFRという腎臓の糸球体が老廃物を排泄する力が、60(㎖/分/1.73㎡)未満だった場合、腎臓の働きが良くないということを示します。

検査で、①か②のいずれか、あるいは両方が3カ月以上持続した場合、CKDと見なされます。

腎臓をいたわり悪化させない為のケア

症状が出る前から、塩分制限をスタート。腎臓を守るためにも、血圧や血糖などのコントロールを

腎臓の機能はいちど失われると、ほとんどの場合、回復することがありません。そのためなるべく早く異常を発見し、治療&ケアによって腎機能の低下を防いだり、スピードを遅らせることが大切です。日常生活ではどのようなことに気をつければいいのか。腎臓専門医の高山医院・竹森愛先生にお話をお伺いしました。

早期では症状がないそうですが、どのくらいで症状が現れますか?

腎臓の機能が50%程度失われて、ようやく症状が現れます
腎臓の機能が健康なときに比べて半分近くまで低下して初めて、自覚症状が現れます(表を参照)。ステージ3(腎臓の機能50%程度)では、夜中に何度もトイレに行く、血圧が上昇する、貧血になるなどの症状が現れます。ステージ4(腎臓の機能30%程度)では、疲れやすさ、むくみ、尿量の減少などが現れます。つまり何らかの症状が出て受診したときには、腎臓の機能はすでに半分以上、失われていることがわかります。放っておくと透析療法が必要になる可能性があります。
ステージ1〜2のうちに食生活など生活習慣の改善をスタートし、薬物療法を開始することが大切です。年に1度の検診(健康診断)は必ず受けるようにしましょう。

高血圧や糖尿病があると、どうして腎臓にも良くない影響があるのでしょうか?

腎臓は毛細血管のかたまり。血圧や血糖のコントロールが不十分だと、腎臓のはたらきが低下してしまいます
腎臓は毛細血管のかたまりだとご紹介しましたが、高血圧の状態が続くと、腎臓の血管にも動脈硬化が生じ、腎臓のはたらきが低下してしまいます。腎臓を守るためにも高血圧は放置せず、医師の指導のもとコントロールしていきましょう。
また糖尿病の血糖コントロールが不十分で高血糖の状態が続くと、腎臓の中にある毛細血管のかたまり(糸球体)がダメージを受けてしまいます。高血糖状態が続くとたんぱく尿が出るようになり、腎臓のろ過機能が低下する恐れがあります。糖尿病の血糖コントロールもきちんと行っていきましょう。

食生活は、どんなことに気をつけたらいいですか?

ステージ2までは塩分制限、ステージ3以上では塩分、たんぱく質、カリウム、リンの摂取制限が必要です
ステージ1〜2では、塩分の摂りすぎに注意をし、1日6g未満に抑えます。たんぱく質は過剰に摂らないように気をつけましょう。
ステージ3以上では、塩分は1日6g未満、たんぱく質の摂り過ぎに気をつけつつ、症状(ステージ)にあわせて、カリウム、リン、水分の摂取制限も行います。

リン酸塩に注意!

インスタント食品、スナック菓子などには「リン酸塩」が添加されている場合があるので注意!

ステージが進行すると、カリウムやリンなどのミネラルの排泄も難しくなります。 カリウムが体に溜まると、手足のしびれや不整脈が生じる場合も。生の野菜は茹でこぼし、くだものは水にさらしたり、缶詰を利用したりしましょう。またリンが体に溜まってしまうと、骨がもろくなりやすくなるため、摂取を制限します。スナック菓子や乳製品などの食べ過ぎに気をつけます。

なかなか運動できません。やはり体は動かした方がいいですか?

家の周りを散歩したり、家の中でストレッチやラジオ体操を!

週に2〜3回、20〜30分程度のウォーキングをしましょう。ゆっくり無理のないペースで歩くことが大切です。もし歩くのが難しい場合には、家の中で軽くストレッチをしたり、ラジオ体操をするのもおすすめです。

慢性腎臓病と診断を受けていますが、他科を受診するときに気をつけることはありますか?

腎機能が低下していることや、わかればステージも伝えて!
たとえば膝や腰の痛みで整形外科を受診すると、エヌセイズ(NSAIDs)と呼ばれる非ステロイド性抗炎症薬(いわゆる痛み止め)を処方されることが多いですが、飲み続けると腎臓の機能が低下するスピードが増してしまいます。
また内科などでよく処方される抗生剤も、使い続けると腎臓に負荷をかけてしまうので、ステージによって処方する量を調整しないといけない種類の薬剤があります。
他科を受診する際には「慢性腎臓病です」あるいは「ステージ4です」など医師に伝えてください。

暑い時期ですが、水分の摂り方で気をつけることはありますか?

ステージ3までの方はたっぷり、4以上の方は普段より少しだけ多めに水分を摂ってください
ステージ1〜3の方は、十分に水分補給をして脱水を防いでください。体内の水分が足りないと、お小水が出なくなってしまいます。
ステージ4,5の方は、普段よりひとくち、ふたくちほど多めに水分を摂ってください。お水とお茶がおすすめで、スポーツドリンクは多量に摂取しないでください。

この記事を書いた人

記事執筆者

医師 竹森 愛

高山医院

医師 竹森 愛

腎臓は一度悪くなると回復は難しく、加齢なども影響して悪化の一途をたどります。悪くなるスピードをゆっくりにし、腎臓が元気でいる時間をできるだけ長くすることが大切です。毎年必ず検診を受けて早期発見&早めの治療につなげていきましょう!