高山医院

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生活習慣と排便トラブル(便秘と痔)

生活習慣と排便トラブル(便秘と痔)

くり返す便秘や痔は、生活習慣が乱れているサインかも。
放置せず、早めの身体メンテナンスと受診を!

便秘などの排便トラブルに悩む方は多いですが、便秘をくり返したり、痔になったりする背景には、毎日の生活習慣が大きく関係しています。生活習慣と、便秘・痔など排便トラブルとの関係に詳しい、高山医院・院長の宮内弘子先生にお話を伺いました。

便秘をくり返す「慢性便秘」とは

回数の減少や残便感など、本人が困ったと感じる症状がある

便秘をくり返す「慢性便秘」とは、排便回数の減少や、排便があっても排便困難症状(便が残っている感じや、すっきり出した感じがない、お腹が張るなどの症状)がある場合をいいます。

  • 1週間の排便回数が減少した
  • 排便時にいきむ必要がある
  • 残便感がある
  • 1日に何度も排便
  • 肛門部に閉そく感がある

このチェック項目にあてはまる症状が1つでもある場合は、生活習慣の改善や治療が必要です。

慢性便秘による症状

腹部の膨満感や残便感以外にも、便が硬い・小さい、いきんでも出にくい、頭痛、肩こり、肌荒れ、痔などさまざまなものがあります。便秘による困った症状があれば、生活習慣の改善や治療が必要です。

便秘の原因

食事の量や内容、運動不足など、生活習慣が便秘の大きな要因に

便秘には、「便の質」と「腸の動き」が関係します。
「便の質」の評価では、このような表(ブリストルスケールといいます)が用いられます。

正常便は表の3~5タイプです。便の質には食事の量や食物繊維の不足、脂肪分の摂取減、無理なダイエットなどが影響し、食事の内容により便は硬くなります。
「腸の動き」には、運動不足、女性ホルモンの影響(排卵から生理前までの黄体期)、年齢(ご高齢である)、ストレスなどが関係します。便は長く大腸内に停滞していると、水分が吸収されすぎて便が硬くなったり、排便回数が減少したりします。
もし便の硬さや腸の動きは正常なのに便が出にくい場合は、腸の病気(腫瘍や炎症、閉塞)など器質的な原因の可能性がありますので、詳しく調べる必要があります。

高齢者の便秘の原因

食事量の少なさや水分不足、筋力・感覚の低下など複数の要因が

ご高齢になると、女性だけでなく男性も便秘で悩むようになります。高齢者の便秘の原因は以下のような要因が関係しています。

  • 食事の量が少ない(便が少なくなる)
  • 水分摂取が少なく脱水気味である(便が硬くなる)
  • 筋力の低下や腰痛などでうまくいきめない
  • 加齢によって腸の働きが低下している
  • 感覚の低下により、肛門近くに便がきても、便意をうまくキャッチできない
  • 普段飲んでいる薬の副作用
  • ストレス

高齢者の便秘は複合的な要因がからみ合っているため、全身的なアプローチ(ケア)が必要になります。

便秘と他の疾患の関係

排便時にいきみが血圧を上げ、心臓や脳の病気につながることも

便秘は長い間、„放っておいても命には関わらない〝と思われてきました。しかし最近では、排便時のいきみにより、血圧が上昇。一時的な血圧の上昇が何度も繰り返されることで血管へ影響し、脳出血や心筋梗塞などの、心血管系の病気(心血管イベント)の増加や、腎不全を引き起こすことがわかってきました。また長期の研究により、慢性便秘を放置すると、生命予後(命についての見通し)が悪化することがわかっています。慢性便秘は治療をすることが重要です。

慢性便秘を放置すると、命に関わる病気を引き起こすことがあります。

痔との関係

座りっぱなしの生活や便が硬いことなどが痔につながる

痔に悩む方も非常に多いですが、実は座りっぱなしの生活は、痔と大きく関係しています。イラストのように、座っていると直腸および肛門に内蔵の圧力がかかり、うっ血してしまうのです。コロナ禍でテレワークの人が増え、動かない、家で座りっぱなしの生活になったことが、痔に悩む人の増加につながっています。

また便秘も痔の原因になります。多いのは切れ痔(裂肛:れっこう)です。硬い便の通過や肛門の無理な広がりにより生じます。初期は排便時の痛みと少量の出血が見られますが、進行すると排便後も痛みが続くようになります。

便秘と痔を予防するための生活改善法

食事や運動、睡眠などトータルに生活習慣の見直しを
排便スタイルは、少し前屈みで!

便秘や痔は、生活習慣の乱れから起きていることが多く、食事内容や生活習慣などを見直しなさいという警告サインでもあります。どのようにして便秘や痔を予防したらいいのか。生活習慣と排便トラブルの関係に詳しい、高山医院・院長の宮内弘子先生に、食事や生活改善のポイントについて伺いました。

便秘を予防するために、食事はどんな点に気をつけたらいいの?

食事の量や回数を確保し、食物繊維を含んだ食物を摂りましょう
食事の量や回数が少ないと、便自体の量が減ってしまいます。また食物繊維の摂取量が少ないと、便のかさ(量)が減り、質も低下して硬くなってしまいます。食事の量や回数をきちんと確保し、食物繊維をしっかり摂ることで、便を柔らかくしていきましょう。

納豆のように発酵した食物繊維を含む食品は、便の大腸通過時間を短くすることがわかっています。
便秘の予防・改善のために、生活面で気をつけたいポイントは?

しっかり眠り、適度に体を動かし、便意を我慢しない!
腸は、リラックスしているときや眠っているとき(副交感神経が優位のとき)によく働きます。十分に睡眠をとることで、腸を活発に動かしましょう。
また体を動かすことで血流が良くなり、腸の働きも良くなります。軽いウォーキングや散歩ではリラックス効果もありますので、体を動かす習慣を持つといいですね。室内で座っているときも、同じ姿勢を続けるのではなく、背伸びをしたり、立ち上がったり体を動かしましょう。
便意を感じたら我慢せず、すぐにトイレにいくことも大切です。便意を我慢することが続くと、便意自体を感じる感覚が鈍くなってしまいます。朝食後は、便意を感じやすいので、食後は便意を感じなくても便器に座る習慣をつけ、家を出る前にトイレに行ける時間を確保しておきましょう。

高齢者が便秘予防で、特に気をつけたいことを教えてください

食べる量が減ってないか、水分はちゃんと摂っているか確認を
ご高齢になると、知らず知らずのうちに食べる量が減って、必然的に便の量も少なってしまいます。また喉の渇きも感じにくくなるため、水分補給も足りず脱水状態ということが少なくありません。まずは食事量や水分摂取量が不足していないか見直してみてください。ご病気で水分制限している方は除きますが、水分は、寝起きにコップ1杯、午前中に1杯、午後は2時間おきに1杯、眠る前にコップ半分など、時間を決めて飲むといいかもしれません。
また年齢を重ねると、便意を感じる感覚が鈍くなり、排便のタイミングをうまくつかめないことも少なくありません。便秘で困っていたら、かかりつけ医や、消化器科などで気軽に相談してみてください。

排便時におすすめの姿勢はありますか?

排便がスムーズになるのは、前屈み35度。足置き台を置いてみて!
イラストのように、足下に台を置いて前傾姿勢で排便をすると、直腸がまっすぐになり排便しやすくなります。いわゆる“ロダン像”のような姿勢です。足置き台は、お風呂用の低めのイスを使うといいかもしれません。

痔の予防で大切なことは?

適度に体を動かして、週に何度かは湯船につかり、アルコールは控えめに
痔にならないようにするには、便秘を予防する食事方法に加えて、ウォーキングなど適度に体を動かすことが大切です。加えて、入浴時にはシャワーだけで済ませず湯船に浸かって体を温めること、アルコールや香辛料などの刺激物は控えめにすることも心がけてください。

薬が原因で、便秘になることがあるの?

鎮痛剤や降圧剤、抗うつ薬などにより便秘になることも
持病の薬を服用されている方は多いと思いますが、実は服用している薬が便秘を起こしている場合があります。鎮痛剤(痛み止め)や咳止め、血圧を下げる薬、神経性の痛みを止める薬、抗うつ剤、抗がん剤、過活動膀胱の薬などです。もしこれらの薬を服用していて便秘でお困りの場合、主治医に薬の変更は可能か、解決策はないかなど相談してみてください。

この記事を書いた人

記事執筆者

院長 宮内 弘子

高山医院

院長 宮内 弘子

生活習慣の結果が、便秘や痔という症状となって現れています。それは"生活習慣を見直した方がいいよ"というサイン(警告)かもしれません。せっかくのサインを見逃さないよう、お近くのクリニックで相談してみましょう